PCB廃棄物収集運搬

PCB(ポリ塩化ビフェニル)についてAbout PCB(Poly Chlorinated Biphenyl).

PCBとは?

PCBとはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、人工的に作られた、 主に油状の化学物質です。PCBの特徴として、水に溶けにくく、沸点が高い、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されていましたが、現在は製造・輸入ともに禁止されています。

PCBが使用されていた機器

PCBが使用された代表的な電気機器等には、変圧器やコンデンサ、安定器があります。
PCBが含まれている変圧器やコンデンサは、古い工場やビル等で使用されており、安定器は古い工場や学校等の蛍光灯等に使用されていました。

コンデンサ
トランス(変圧器)
蛍光灯安定器(イメージ)

PCBの毒性

脂肪に溶けやすいという性質から、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、様々な症状を引き起こすことが報告されています。PCBが大きく取りあげられる契機となった事件として、1968年(昭和43年)に食用油の製造過程において熱媒体として使用されたPCBが混入し、健康被害を発生させたカネミ油症事件があります。カネミ油症は、昭和43年10月に、西日本を中心に、広域にわたって発生した、ライスオイル(米ぬか油)による食中毒事件です。症状は、吹出物、色素沈着、目やになどの皮膚症状のほか、全身倦怠感、しびれ感、食欲不振など多様です。

PCB廃棄物処理の経緯

PCBはその有用性から広範囲に使用されるも、その毒性が明らかになり1972年(昭和47年)に製造が中止になりました。それから約30年間に渡り民間主導で処理施設の立地が試みられましたが、地元住民の理解が得られず立地には至りませんでした。
保管の長期化により、紛失や漏洩による環境汚染の進行が懸念されたことから、それらの確実かつ適正な処理を推進するため、平成13年6月22日に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB 特措法)が公布され、同年7月15日から施行されました。
法律の施行により、国が中心となって中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)を活用して、平成16年の北九州事業の操業をはじめ、全国5箇所に処理施設が整備されました。
また、平成28年には高濃度PCB廃棄物の処理の進捗状況を踏まえ、PCB特別措置法を改正し、処理を迅速に進めていく為の法整備をいたしました。

高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物

PCB廃棄物は、PCB濃度により高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類されます。高濃度PCB廃棄物はPCB濃度が0.5%(=5000ppm)を超えるものとなります。
高圧変圧器・コンデンサー等の高濃度PCB廃棄物は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)で処理を行っています。低濃度PCB廃棄物については環境大臣が認定する無害化処理認定施設及び都道府県知事等が許可する施設で処理を行っています。

高濃度PCB廃棄物 低濃度PCB廃棄物
定義 PCBを使用した電気機器廃棄物
(PCB濃度が5,000mg/kgを
超える廃棄物)
微量PCB汚染廃電気機器等:非意図的に
PCBが混入した廃棄物
低濃度PCB含有廃棄物:PCB濃度が
5,000mg/kg以下の廃棄物
処理先 中間貯蔵・環境安全事業(株)
(JESCO)
無害化処理認定施設
PCBに関する特別管理産業廃棄物
処理の許可施設

高濃度PCB廃棄物(PCBが使用された代表的な電気機器等)

PCBが使用された代表的な電気機器等には、高圧変圧器や高圧コンデンサ、安定器があります。変圧器(トランス)とは、ある交流の電圧をそれより高いか、又は低い電圧に変える装置であり、コンデンサとは、電気を一時的に蓄える、電圧を調整する、位相を変化させる、といった効果を持つ装置です。

低濃度PCB廃棄物

PCB濃度が5000mg/kg以下のPCB廃棄物及び微量PCB汚染廃電気機器等(PCBを使用していないとする電気機器等であって、数mg/kgから数十mg/kg程度のPCBに汚染された絶縁油を含むもの)については、低濃度PCB廃棄物として適正に処理する必要があります。微量PCB汚染廃電気機器等の量は、使用中を含めて、柱上トランス以外の電気機器が約120万台、柱上トランスが約146万台、OFケーブルが約 1,400kmと推計されています。